DX推進への取り組み

1.DX推進の必要性

平素より格段のご高配を賜り、厚く御礼申しあげます。

ご承知のとおり、国内経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響に加え、資源価格の高騰や円安による企業のコスト負担、海外経済悪化の影響が懸念されています。
先行き、資源高が個人消費に与える影響を注視する必要はありますが、足下の消費者信用市場は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けながらも、比較的堅調に拡大しています。

消費者信用業界においては、生活様式の変化や情報通信技術とデジタル化の進展から、様々な決済手段が登場する一方、Fintechを活用した新たな決済ビジネスが登場するなど、さらなる成長と大きな変革期を迎えています。

企業の責任は、事業活動を通じて社会課題を解決し、社会的な価値を創造することへと進化しています。
変化する時代においては、固定観念にとらわれず、柔軟な発想への転換と不断の挑戦・変革の意識が必要です。当社としましては、当社の社会への影響度、業界における立場、社会からの期待を認識したうえで、透明性のある機関運営および柔軟かつ継続的な改善活動が行われる業務執行体制を確立する必要があると考えています。

このような認識の下、当社は2022年度から2025年度までの中期経営計画「CHALLENGE2025」を策定し、その中の重要な施策としてDX推進の取り組みを開始しました。
当社は、信用情報機関として各種データと情報技術を活用し、加盟会員や消費者、さらに社会の最新のニーズに応えていくために、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を「DX戦略」として策定し、着手してまいります。
「DX戦略」の進捗状況は、当社ホームページで定期的に情報発信します。今後とも、皆様から信頼される信用情報機関を目指して努力してまいりますので、ご理解・ご支援を賜りますようお願い申しあげます。

2.DX戦略

  1. 技術的負債の解消
    メインフレームから継承しているプログラムを見直し、各システムの適性に応じた汎用性のあるプログラムに移行を進めることで、システム規模のスリム化に取り組んでまいります。
    経済産業省「DXレポート」(2018年)でも、既存システムに残存する技術的負債がDXの足枷となることが示唆されています。プログラム言語の見直しや分散処理技術の採用などにより、システム規模のスリム化や可視化に取り込むことは、DXを推進するうえで重要な戦略であると考えます。
  2. AI・クラウド・RPAなどの技術活用による業務改善
    これまで人的作業で行ってきた社内業務を、AIやクラウドなど最新技術を活用して改善に取り組み、業務の効率化と品質向上を実現させます。
    当社では、システム部門と経営企画部門が連携し、全社横断的にDX推進活動を行っていきます。作業手順が定型化されている業務は、RPAによる自動化を推進します。
    また、これまで自社でサーバを購入しネットワーク接続させていたシステムはクラウドサービス活用も選択肢に加え、コスト削減と業務品質向上に向けて取り組んでいきます。
  3. デジタル技術を活用した新規事業への取り組み
    当社が保有する信用情報のうち、客観的な申込・契約内容および利用実績(残高・支払い等)に関する項目について、各項目の関連性を分析・指数化し、加盟会員の照会依頼および消費者からの開示請求に対して、「指数」の回答を行う新規事業「クレジット・ガイダンス」に取り組みます。
    また、指数に大きく影響を与えた信用情報の状態を「算出理由」として回答することにより、事業の透明性を確保します。
    新規事業「クレジット・ガイダンス」は、加盟会員の与信精度向上に寄与するとともに、消費者に対しても「指数」「算出理由」の確認により、クレジット契約の利用等における「継続点」や「改善点」の把握が可能となるというメリットを与えることが期待できます。
  4. 開示サービスのデジタル化推進
    より多くの消費者に安全かつ便利に開示サービスを利用いただけるよう、非対面・非接触で利用できる開示サービスの利用環境を向上させます。
    パソコンやスマートフォンから自分の信用情報を開示する「インターネット開示」の決済手段はクレジットカードに限定されていますが、多様化するキャッシュレス決済の流れを受けて、当社でも「インターネット開示」に新たな決済手段を追加し、より多くの消費者が非対面のデジタル取引で開示サービスを利用できるよう、取り組んでいきます。

3.DX推進体制

  1. 組織体制
    経営企画部が方針・戦略を策定し、業務主管部署が施策を立案・実行します。
    ITサービス部・システム開発部は「システム部門」として業務主管部署を技術的に支援し、自らも現行システムの課題解消に取り組むことで、DXを推進します。
    DXの推進状況は、経営層が参加する「経営会議」等の会議体で定期的に報告し、取り組み事項の共有・進捗確認を実施します。
    また、上記会議体の内容を社内で共有し、全社横断的にDXへ取り組む体制とします。
  2. 人材の育成・確保
    デジタル技術の分野は日進月歩で進化し、使いこなせる人材を育成する必要があります。
    当社では、「ITパスポート」「情報セキュリティマネジメント」いずれかの資格取得を全社員に義務付け、情報処理技術者には資格手当を支給することで、全社的なDX人材育成を行っています。このように、多くの社員がシステムの基礎知識・専門知識を習得することで、DXを推進する人材を育成・確保していきます。

4.DX環境整備

  1. システム環境整備
    開発言語の見直しや分散処理の採用などに取り組み、レガシーシステムを刷新していきます。
  2. RPAなどの利用環境と事務フローの電子化
    社内システムに、RPAなどの利用環境を整備していきます。また、これまで紙媒体で授受していた各種手続きを電子化していきます。
  3. データ分析基盤の構築
    保有している信用情報をデータ分析できるシステム環境を構築していきます。
  4. 本人認証のデジタル化技術
    インターネット取引における本人認証手段として、デジタル認証が可能な環境を整備していきます。

5.DX戦略の達成状況を図る指標

  1. 新規事業への取り組み
    「クレジット・ガイダンス」のシステム構築
  2. 開示サービスのデジタル化推進
    インターネット開示・本人申告における決済機能の追加
  3. DX人材育成
    全社員による「ITパスポート」または「情報セキュリティマネジメント」資格の取得推進

6.DX戦略の推進に関する取り組み状況

  1. 技術的負債の解消
    経営層でIT戦略を議論する場を設定し、当社が目指すシステムの方向性や解消すべき課題について、定期的に議論を行っております。
  2. RPAを活用した業務効率化
    RPAの社内研修を継続実施するとともに、一部の部署でRPAを活用できる環境を整備しました。
  3. デジタル技術を活用した新規事業への取り組み
    新規事業「クレジット・ガイダンス」の事業開始に向けて、開発環境での精度検証に取り組むとともに、利用を検討いただける加盟会員への資料公開に向けた準備を
    行っています。
  4. 開示サービスのデジタル化推進
    インターネット開示の決済手段追加に向けて、セキュリティ対策の強化に取り組んでいます。

当社では、今後もホームページ等でDX戦略の進捗情報を発信し、推進を図ってまいります。

以上

2022年9月20日
2022年12月13日改定
株式会社シー・アイ・シー
代表取締役社長兼社長執行役員 齋藤 雅之