1.DX推進の必要性
平素より格段のご高配を賜り、厚くお礼申しあげます。
ご承知のとおり、国内経済は、資源価格の高騰や円安による企業のコスト負担など、引き続き経済面の大きな懸念材料はあるものの、賃上げやインバウンドの増加を支えに国内消費が持ち直しの兆しを見せつつあり、足下の消費者信用市場は、キャッシュレス化を足掛かりに堅調に拡大しています。
消費者信用業界においては、生活様式の変化や情報通信技術とデジタル化の進展から、様々な決済手段が登場する一方、Fintechを活用した新たな決済ビジネスが登場するなど、さらなる成長と大きな変革期を迎えています。
企業の責任は、事業活動を通じて社会課題を解決し、社会的な価値を創造することへと進化しています。
変化する時代においては、固定観念にとらわれず、柔軟な発想への転換と不断の挑戦・変革の意識が必要です。当社としましては、当社の社会への影響度、業界における立場、社会からの期待を認識したうえで、透明性のある機関運営および柔軟かつ継続的な改善活動が行われる業務執行体制を確立する必要があると考えています。
このような認識の下、当社は2022年度から2025年度までの中期経営計画「CHALLENGE2025」を策定し、その中の重要な施策としてDX推進の取り組みを開始しました。
当社は、信用情報機関として各種データと情報技術を活用し、加盟企業や消費者の皆さま、さらに社会の最新のニーズに応えていくために、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を「DX戦略」として策定し、着手してまいります。
「DX戦略」の進捗状況は、当社ホームページで定期的に情報発信します。今後とも、皆さまから信頼される信用情報機関を目指して努力してまいりますので、ご理解・ご支援を賜りますようお願い申しあげます。
2.DX戦略
- 技術的負債の解消
メインフレームから継承しているプログラムを見直し、各システムの適性に応じた汎用性のあるプログラムに移行を進めることで、システム規模のスリム化に取り組んでまいります。
経済産業省「DXレポート」(2018年)でも、既存システムに残存する技術的負債がDXの足枷となることが示唆されています。プログラム言語の見直しや分散処理技術の採用などにより、システム規模のスリム化や可視化に取り込むことは、DXを推進するうえで重要な戦略であると考えます。
- AI・クラウド・RPAなどの技術活用による業務改善
これまで人的作業で行ってきた社内業務を、AIやクラウドなど最新技術や社内に蓄積されたデータの利活用を通じて、業務の効率化と品質向上を実現させます。
当社では、システム部門と経営企画部門が連携し、全社横断的にDX推進活動を行っていきます。作業手順が定型化されている業務は、RPAによる自動化を推進します。
また、これまで自社で完結していたリソースは、クラウドサービス活用も選択肢に加え、コスト削減と業務品質向上に向けて取り組んでいきます。
- デジタル技術を活用した信用情報の指数化
当社は、加盟企業からの照会依頼および情報開示制度に基づく消費者の皆さまからの開示依頼により、クレジットやローンの契約や申し込みに関する客観的な取引事実をご提供しています。当社では保有する信用情報の利活用による新たな付加価値の創出を図るべく、保有している信用情報のうち、年齢・性別・居住地などの属性項目を除いた情報を分析し、信用状態を「指数」として加盟企業および消費者の皆さまに提供する「クレジット・ガイダンス」に取り組みます。
信用状態を指数化することで、加盟企業における与信判断の標準化・自動化に貢献するとともに、ご自身のクレジットヒストリーがひと目で分かり、現時点の信用状態が容易に把握できるようになることで、安心なクレジットライフのサポートひいては豊かなクレジット社会の実現を目指します。
- 開示サービスのデジタル化推進
より多くの消費者の皆さまに安全かつ便利に開示サービスを利用いただけるよう、非対面・非接触で利用できる開示サービスの利用環境を向上させます。
パソコンやスマートフォンからご自身の信用情報を開示する「インターネット開示」については、多様化するキャッシュレス決済の流れを受けて、決済手段を追加し、より多くの消費者の皆さまが非対面のデジタル取引で開示サービスを利用できるよう、取り組んでいきます。
3.DX推進体制
- 組織体制
経営企画部が方針・戦略を策定し、業務主管部署が施策を立案・実行します。
ITサービス部・システム開発部は「システム部門」として業務主管部署を技術的に支援し、自らも現行システムの課題解消に取り組むことで、DXを推進します。
DXの推進状況は、経営層が参加する「経営会議」等の会議体で定期的に報告し、取り組み事項の共有・進捗確認を実施します。
また、上記会議体の内容を社内で共有し、全社横断的にDXへ取り組む体制とします。
- 人材の育成・確保
デジタル技術の分野は日進月歩で進化し、使いこなせる人材を育成する必要があります。
当社では、「ITパスポート」または「情報セキュリティマネジメント」の資格取得を全社員に義務付け、情報処理技術者には資格手当を支給することで、全社的なDX人材の育成を行っています。このように、多くの社員がシステムの基礎知識・専門知識を習得するとともに、社員がDXに触れる機会を設けることで、DXを推進する人材を育成・確保していきます。
4.DX環境整備
- システム環境整備
開発言語の見直しや分散処理の採用などに取り組み、レガシーシステムを刷新していきます。
- 生成AI・RPAなどの利用環境の整備
社内で整備した生成AIやRPAなどを通じて、社内データが有効利用できる環境を整備していきます。
- データ分析基盤の維持・改善
「クレジット・ガイダンス」を提供するデータ分析基盤および社内向けデータ分析基盤(BI環境)の維持・改善を進めてまいります。
- 本人認証のデジタル化技術
インターネット取引における本人認証手段として、デジタル認証が可能な環境を整備していきます。
5.DX戦略の達成状況を図る指標
2025年度末までに以下の状態を目指します。
- デジタル技術を活用した信用情報の指数化
「クレジット・ガイダンス」の安定運営と高精度の維持
- AI・クラウド・RPAなどの技術活用による業務改善
2021年度比で16,000時間相当の時間削減
- 開示サービスのデジタル化推進
インターネット開示・本人申告における決済手段の追加
- DX人材育成
全社員による「ITパスポート」または「情報セキュリティマネジメント」資格の取得
6.DX戦略の推進に関する取り組み状況
- 技術的負債の解消
当社の中長期的なシステム将来像を描いた「システムグランドデザイン」を策定し、進化・変革していくデジタル社会に柔軟かつ迅速に適合するITシステムの構築に向け取り組んでいます。
- AI・クラウド・RPAなどの技術活用による業務改善
RPA・生成AIが利用できる社内環境の整備およびクラウドサービス利用による社内業務の効率化を推進しています。
- デジタル技術を活用した信用情報の指数化
加盟企業および消費者の皆さまへの「クレジット・ガイダンス」の提供開始に向けた準備を行っています。
- 開示サービスのデジタル化推進
インターネット開示の決済手段追加に向けて、システムの開発に取り組んでいます。
当社では、今後もホームページ等でDX戦略の進捗情報を発信し、推進を図ってまいります。
以上
2022年9月20日
2024年10月29日改定
株式会社シー・アイ・シー
代表取締役社長兼社長執行役員 齋藤 雅之